みなさん、おはこんにちばんは!!
杜くまです。
先日、「A380生産中止」というニュースが耳に飛び込んできました。
ANAが今年の5月にA380で成田=ホノルル線に就航することを発表していますが、なぜA380は生産中止となってしまったのでしょうか、そして、ANAのA380就航に何か影響はあるのでしょうか。
A380という飛行機について
A380はエアバス社が開発した総2階建ての超大型旅客機になります。
2007年にシンガポール航空が運航を開始し、現在、中東の航空会社を中心として世界で約300機が運航しています。
同様の2階建ての旅客機というと日本において「ジャンボ」と呼ばれていたB747型機がありましたよね。
この2つの大きな違いは、写真を見比べてみると一目瞭然ですよね。B747は機体前部のみが2階建てになっているのに対し、A380は機体前部から後部にかけて全体で2階建てになっています。
また、キャビンの総面積はB747(-400)型機の約1.5倍、座席数はファースト、ビジネス、エコノミーの3クラスからなる標準座席仕様で同じく約1.3倍となっています。
このように、A380型機は「ジャンボ」をこえるまさに夢のような超大型旅客機なのです。
なぜ生産中止に至ったのか
では、そんな夢のような超大型旅客機はなぜ生産中止に至ってしまったのでしょうか。その理由として、2つ考えられる点があります。それは、「コスト重視の流れ」と「低燃費機材の台頭」です。
コスト重視の流れ
A380の運航開始は2007年でした。この12年の中で航空業界は大きく変化したようです。近年では、成田空港にLCC用の第3ターミナルができるなど、LCCが生活の一部となっています。
ですが、このLCCが新語・流行語大賞のトップテンになったのは、2012年。スギちゃんの「ワイルドだろぉ」が大賞を取った年です。かなり最近のことですよね。
この頃から日本国内でもLCCが就航を始め、航空業界はコスト重視に傾き始めました。ANAやJALといったFSC(フルサービスキャリア)はLCCに客が流れるのを防ぐため、コストを重視するようになりました。
大型機は搭乗と降機に時間がかかる上、搭乗率が低くなった場合、無駄なコストがかかってしまいます。中小型機で運航することで搭乗率を高め、機材の取り回しをききやすくし、コストを抑えるようになったのです。ANAが行っている「ピタっとフリート」がその一例だと思われます。
すなわち、
「少ない便で一度にたくさん運ぶ」
→「多くの便で少しずつ運ぶ」
という方針転換が行われたのです。
この背景には、各空港の発着枠が拡大されたこともあるかと思います。
低燃費機材の台頭
また、B787型機やA350型機といった低燃費な双発機が登場したことにより、大型機でなくても長距離路線を就航できるようになりました。
それに伴い、特に国際線において、大都市間のハブ空港を大型機で結び、そこから目的地へ小型機で運ぶという「ハブアンドスポーク戦略」よりも、中小型機で出発地と目的地を直接結ぶ「ボックストゥボックス戦略」が主流になったということが考えられます。
ANAやJALに関しても、東南アジアの新たな都市に就航するなど、この戦略をとっていますよね。
これらが大きな理由となり、大型機であるA380は受注が少なくなり、生産中止に追い詰められたと杜くまは考えます。
ANAのA380就航への影響は!?
そんな中、ANAは5月24日からA380型機で成田=ホノルル線を就航させます。
このA380の生産中止はANAに影響を及ぼすのでしょうか。
これは現段階では何とも言えないというのが杜くまの考えになります。
先日行われたANAHDとANAの定例記者会見の中で、ANAHDの片野坂社長が「(生産中止後も)部品供給やバックアップは緩めることなくやっていくというコミットメントがある。エアバスとは長年の信頼関係があり、体制への不安はない。」という発言をしたそうです。
ですが、以上のように中小型機への転換が進んでいる中、いわば、時代に逆らう就航といえます。
閑散期などでは、その大きさゆえに座席が埋まらず、不採算に陥るリスクも抱えています。
もちろん、私自身、A380型機でハワイに行きたいという気持ちはありますし、楽しみでもあります。
しかしながら、このような航空業界の流れを理解すると、今後の動向を注目していかなければならないとも思っています。